蜂群崩壊症候群という言葉を聞いたことがありますか?名前を聞くだけでもあまりいいイメージは湧かないと思いますが、これは実際に今地球で起こっていることです。今ミツバチたちに何が起きているのか、それによって私たち人間への影響がどうなるのか、是非目を通してみてください。
蜂群崩壊症候群とは?蜂群崩壊症候群ってどんな現象?
蜂群崩壊症候群(ほうぐんほうかいしょうこうぐん)とは、みつばちが大量に謎の失踪を遂げてしまう現象のことを言います。日本では「いないいない病」(いないいないばあとイタイイタイ病をかけている)と呼ばれることもあります。幼虫と女王蜂は巣の中に存在しますが、餌を運ぶ働き蜂がいないため、やがて残った個体も死滅してしまいます。
蜂群崩壊症候群の兆候とは?
ミツバチが失踪を遂げる前兆として以下のような兆候が見られます。
働き蜂が不足、またはいなくなるが、コロニー周辺に死んだ蜂は見られない。
コロニーには孵化前の幼虫と女王蜂は存在する。
蜂蜜や花粉は備蓄されたままである。
蜂は通常卵が孵化するまで巣を放棄することはなく、蜂蜜や花粉が蓄えられていれば敵に攻撃されても巣ごもりできるため、敵による攻撃は考えにくい。
蜂群崩壊症候群の原因とは?はっきりと特定できていない?それでは蜂群崩壊症候群の原因とは一体何なのでしょうか?
ダニやウィルスによる感染、遺伝子組み換え作物による影響、過密な交配によるストレス、温暖化などの環境変化、単一の花粉のみでの養蜂による栄養不足、携帯電話の電波、農薬etc…。様々な原因が挙げられていますが、実ははっきりとした蜂群崩壊症候群の原因はまだ断定できていない、というのが実情です。
その中でも特に有力視されている原因とは?
その様々な原因の中でも、ネオニコチノイド系の農薬が原因である可能性が一番高いということが金沢大学の山田敏郎教授のチームの実験結果から明らかになりました。ネオニコチノイド系の農薬を糖液と花粉ペーストに混ぜてミツバチに与えたところ、低濃度にも関わらず蜂群崩壊症候群と似た様な現象が起きました。例えミツバチが即死する量でなくても、ハチの帰巣本能がダメになり群れが崩壊するということが指摘されたそうです。
ところが農薬メーカーからは、「科学的根拠がない」という理由から、ネオニコチノイドが蜂群崩壊症候群の主たる原因ではないとの異論が上がっています。
もしもみつばちがいなくなったら。イギリスのことわざに「蜂蜜の歴史は人類の歴史」というものがあります。もしもみつばちがいなくなったら、はちみつが取れなくなってしまいます。ですがはちみつが取れなくなることよりも、もっと深刻な影響が懸念されます。それは私たちの毎日の食事に欠かせない果物や野菜の果実を実らせるための受粉ができなくなるということです。
「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」と国連環境計画(UNEP)アヒム・シュタイナー事務局長が2011年に報告しています。
みつばちのために私たち人間ができること。
ヨーロッパではネオニコチノイド系の農薬がミツバチに対して有害だと明らかになってからは、すでに使用が禁止され始めています。ところが日本では使用禁止どころか、規制緩和が進んでいるのです。ミツバチが大量失踪する原因がネオニコチノイドであるにしてもそうでないにしても、その原因とされる可能性の殆どが人間に絡むものばかりです。みつばちのために私たち人間ができること、それはみつばちにとって脅威のない住みやすい環境を人間が意識して守ることなのです。
ミツバチの減少・蜂群崩壊症候群について、これを読んで理解していただけたら幸いです。
ミツバチが人間に与える恩恵は私たち人間が知っている以上に大きいですが、私たち人間がミツバチに与える悪影響は、私たちが想像する以上にもっと大きいということに、私たち人間は気づくべきなのです。