1匹のハチが一生で集められるはちみつの量は、ティースプーン1杯分といわれています。そもそも、はちみつはどのようにして作られるのでしょうか。はちみつは、ハチが花の蜜を集めてくるだけで生成されるものではありません。巣に持ち帰った時点ではまだ糖度は40%ほどしかなく、水分量は70%と大変水っぽい状態です。蜜を持ち帰ったハチは、集めてきた花の蜜をハチの酵素で分解し、ハチの羽の羽ばたきで余分な水分を時間をかけてじっくり、じっくり飛ばし,水分量を20%ほどまでにして成熟させて、やっとはちみつが完成します。あの黄金の液体は、ハチたちの努力の結晶なのです。
純粋はちみつ
ハチが作ったはちみつに何も混ぜられていないもの。国産では水分含有量が23%以下、海外産では20%以下という基準もある。
精製はちみつ
はちみつから、においや色を取り除き加工したもの。においや色があると清涼飲料水や食品加工には使いづらいため、用いられている。加工により本来の栄養素は壊れてしまい、糖分としての役割しか果たさない。
加糖はちみつ
はちみつに果糖ブドウ糖液を加えたもので、はちみつの含有量が全体の60%以上のもの。
純粋はちみつの健康効果・効能
①即エネルギー源に!疲労回復効果
はちみつの糖分は、単糖類に分類されます。単糖類とは、それ以上分解する必要なく消化吸収される、消化器に負担をかけない糖分です。そのため、エネルギーに変わるのも早く、体力を消耗した体に早く効きます。部活動にはちみつレモンの差し入れをするのは、理にかなっていたのですね。
②風邪を引いた時にも。殺菌効果
はちみつに含まれるグルコン酸には、殺菌作用があります。また、強い殺菌力を持つ過酸化水素を作るグルコースオキシターゼという酵素も含まれています。このため、ダブルで殺菌効果を発揮するのです。喉の痛みや咳止め、口内炎などにも効果があるといわれています。
③美容にも効果的!保湿効果
摂取するだけでなく、クレンジングやパックでも、その保湿効果を存分に発揮します。普段の洗顔後に、小さじ2杯ほどのはちみつを、残った汚れを浮かせるように顔全体になじませ、しっかりすすげばクレンジングは完了。はちみつの保湿力を感じられることでしょう。荒れてしまった唇に塗るのも効果的!
④高すぎる栄養価…!食べるサプリメント
はちみつの主成分は、果糖とブドウ糖。その他、ビタミンB群など10種類のビタミン類、27種類のミネラル、22種類のアミノ酸、80種類の酵素、10種類以上の有機酸、ポリフェノールなど、栄養成分の数はなんと150種類以上!栄養成分がバランスよく含まれている総合栄養食品なのです。まさに、食べるサプリメントと言っても過言ではありません。
⑤ダイエットにも効果的!
砂糖の甘みをはちみつで代用しようとすると、砂糖大さじ3杯に対し、はちみつは大さじ1杯で済みます。さらに、カロリーは砂糖の4分の3しかありません。
また、はちみつには血糖値を調整する機能があるため、脂肪がつきにくいというダイエットにうれしい効果があります。はちみつの摂取後、ブドウ糖はすぐに血液中に吸収されますが、果糖はゆっくり吸収されます。この差により血糖濃度が調節され、肝臓が糖分を処理できるため、「余った糖分が脂肪に変わる」という危険が少ないのです。
⑥二日酔いや花粉症にも!その他はちみつ効果いろいろ
はちみつに含まれるビタミンB2は肝機能を高めるため二日酔いにも効果があります。また、花粉症の予防・改善にも効果があります。まるで万病の薬…
非加熱のはちみつ
栄養価の高いはちみつは、花の蜜を取ってきて完熟させるまでのすべてをハチが行ったはちみつです。それを待って採取したものが本当に純粋なはちみつといえます。
しかし、「ハチが完熟させるまでなんて待てない!」と、コストや大量生産を考えた製造者もたくさん存在します。この方々は、ハチが巣に持ち帰ったばかりで採取し、人工的に加熱処理を施し完熟させてしまうのです。
実は、この人工的な加熱作業がはちみつの栄養成分を壊してしまいます。
はちみつに含まれるたくさんの栄養成分、酵素やビタミンは、45度以上の熱にさらされると壊れていき、効果がなくなっていってしまうのです。
そしてですね。
「全国はちみつ公正取引協議会」の規定によると、「純粋はちみつ」の定義は、「混ぜ物がなく、水分量が20%ほど」。これだけなんです。
これだけが条件なら、ハチが小さな羽を震わせて一生懸命作るはちみつの完成を待つより、さっさと採取し、人工的に加熱して成熟させる方が効率がいいのは一目瞭然ですよね。
非加熱で栄養成分が生きている「純粋はちみつ」。人工的に加熱して栄養成分が壊れた「純粋はちみつ」。売られている「純粋はちみつ」の中には、このような非加熱と加熱済みの2種類が隠れています。
本物のはちみつを判断するには?
判断基準のひとつになるのは、透明度。はちみつを買うとき、ビンを透かして見てみてください。本物のはちみつは花粉などが混じっているため、濁っています。透き通っているものは加工されている可能性を疑った方が賢明です。
非加熱の純粋はちみつは、自分の目で見抜くのは大変難しいため、信用できるところから購入することが重要です。作り手の顔が分かる、安心できる養蜂場のはちみつがやはりおすすめです。
スプーンはNG?効果的な摂取の方法とタイミング
最も効率が良いのは、はちみつをスプーンですくってそのまま何も手を加えずに摂取することです。タイミングは、空腹時が最もおすすめで、寝る前がベストです。体で細胞の修復が行われる「成長ホルモン」が分泌されるのが睡眠中だからです。また、はちみつには作用があるため、ストレスを取り除き、安眠を誘う作用もあります。
と、ここで一つ注意点。はちみつは、金属に触れると変質してしまいます。ハニーディッパーや金属以外のスプーンを使いましょう。
赤ちゃんには与えないで!
栄養満点のはちみつですが、1歳未満の赤ちゃんに与えてはいけません。最近、はちみつのラベルに注意表示をすることが義務化されましたね。
赤ちゃんにはちみつを与えてしまうと、乳児ボツリヌス症にかかってしまう恐れがあります。まだ腸内環境が整っていないため、ボツリヌス菌が腸内で増えて毒素を出します。ボツリヌス菌は熱に大変強く、調理や加熱では殺菌されないため、はちみつを使った食品や飲み物なども与えないよう十分気を付けてください。
はちみつを使ったレシピ~はちみつレモンの作り方~
はちみつは、栄養価抜群の総合栄養食品ですが、唯一ビタミンCだけは不足しています。そのため、ビタミンC豊富な食材と合わせると無敵なんです!